全何回になるのか予想できない「親御さんインタビュー」普段のことをありのままにお話ししていただきます。今回は門川みくくんと門川泰之さんの第三回です。障害を抱えるお子さんを持つ親御さんをサポートしてあげることもあるそうです。
父:ほとんどの方がお子さんのお世話で精一杯なので、そういう難しい問題に直面した時に対応できないんですよね。そんなお母さん方が本当にかわいそうで、相談されたらサポートをすることがよくあります。
け:お母さん一人じゃちょっと厳しい戦いですよね。
父:けみさんにもお話ししたことがありますけど、一般的に父親ってなかなかこういうことに首を突っ込むのを嫌がるじゃないですか(笑)。大阪でもそういう家庭が多いから、おざなりになってしまっている部分はいっぱいあると思いますよ。だから、こうやってけみさんみたいな人が頑張っているのを見ているから、僕らももっと何かできることがあるんじゃないかといつも考えてます。やっぱり、障がいを持つ家庭が生きやすいように僕が道を作っていきたいというのはありますね。✨
け:僕らも少しでも役に立ちたいですね。
父:みくの受験の時の話を少しだけすると、高校受験も、当時の担任の先生やら、周りの大人たちに「絶対受からない」なんて言われてましたけど「見とけよ」という一心で頑張りました。合格するためには、色々基準があるんですけど、簡単にいうと『学校を休まない』『部活をしっかりする』というのを頑張りましたね。
け:ちなみに部活は何をやってるんですか?
父:吹奏楽部です。
け:ほおおおお!パートは何をしてるんですか?
父:タンバリンです!流石に府が主催する大きなコンクールとかには出れないんですけどね。会場で静かにしないといけなかったりするので。でもたくさん部員がいる部活で、みくは一生懸命やってたんですよ。でも学園祭とか、地域のちょっとしたイベントで演奏するときなんかは、みんなと一緒に舞台に立って演奏してました。吹奏楽部って、いわゆる”ブラック部活”と呼ばれてて(笑)。土日も普通に練習があるんですよ。でも、学校を休まない、部活をしっかりやると決めていたので、毎週欠かさず練習に参加しました(笑)。でもそれがすごく良くて、毎週参加すると他の部員との距離も必然的に縮まりますし、みくは音楽が好きなんで、周りの子達が演奏した時に”みくが笑顔になったら今日はいい演奏だった”なんて基準が部員の中で勝手に生まれたり。そういう話を聞くと、吹奏楽部に入って、さらに毎週欠かさず土日の練習にも参加してよかったんじゃないかなと思いますね。
け:周りの子どもがみく君と接することで、成長できるというのもあるのかもしれないですね。障がいのことをよく知らないから、やっぱり最初はどうやって接していいかわからないし、そこに触っていく過程ってすごく大事なんだなと思います。
父:そうなんですよ。私も女房ですらも、最初は障がいを持つ子どもを産んだことにすごく悩みましたし、周りに言えない時期も正直あったんです。隠れるように生きようかなと思ったこともありました。でも、やっぱりそうやって生きるのは凄く嫌だったので、やめました。みくが小学校、中学校の時は、平日の仕事がある日であっても、外出の予定や、出張の予定がなければ、毎朝学校まで送って行ってました。小学校は集団投稿だったので、同じ学校の子どもたちと喋りながら学校に行ってました。で、同じ学校の子どもたちと父親である自分も仲良くならなくてはいけないと思って、クラスの集合写真を拡大コピーをして、担任の先生に一人ひとり名前を書いてもらって、全員の名前を覚えて、コミュニケーションを取っていましたね。ストーカーみたいですけど、ちゃんと事情を話して対応をしてもらってました(笑)。呼ぶ時も「ちょっと君」とかじゃなくて、「〇〇ちゃんおはよう」とか「〇〇くん今日も元気だね」と名前をちゃんと読んでコミュニケーションを取ることで、向こうもこちらに親近感を持ってくれて、それが結果的にみくがクラスに馴染んでいくきっかけになったりするんですよ。
け:集団登校の時は車椅子を押しながら一緒に登校してたってことですか?
父:ええそうですね。家から学校まで5分くらいの短い距離ではあるんですが、すごくいい時間でしたよ。
け:それはなかなかできないですよ。すごいです。
父:けみさんもご存知の通り、私はデザインとかそういう業界にいますから、カメラもそこそこのものを持ってるんですね。だからお母さん型では撮れないような写真をクラス全員分撮影して配るということもしてましたね。そうすると、やっぱり嬉しいみたいで、クラスの子どもたちとみくとの距離がまた縮まっていくんですよね。これは中学卒業するまでイベントごとがあればずっとやってました。やっぱり嬉しいもんですよ。みくがクラスに馴染んでいく様子が見られるのは。
け:いや、素晴らしいですね。親御さんからのアプローチって本当に大切なんですね。
・・・第四話につづく