全何回になるか予測できない「親御さんインタビュー」普段のことをありのままに、お話ししていただきます。
今回は、こいけりほちゃんと、小池誠さんにお話を伺いました。
第一回「不都合は、自分の力で変えていく」
け:今日はお時間いただき、ありがとうございます。誠さんには本当いつもお世話になっていて。(誠さんは、デザイン会社とデイサービスを2施設を経営。ONEARTの活動にもご賛同いただき顧問にもなってもらい、その施設に定期的にお絵描きをしにお邪魔させてもらってます)
父:こちらこそありがとう。色々お話できたらいいな。
け:りほちゃんはいくつになりましたか?
父:今、12歳で今年小学校を卒業かな。
け:学校は地域の学校に?
父:そう、小学校は普通の地域の学校に行ってたけど、中学は支援学校に行こうと思ってる。
け:ありがとうございます。まず、りほちゃんの障害についてお話いただけますか?
父:りほは「アンジェルマン症候群」という障害です。笑顔が特徴的でね。遺伝子の疾患で、15番の染色体の異常なんだよね。歩いたりはできるけど、座り込んだりすると大変だから、いつもバギーと一緒。笑顔が特徴的な障害だから、エンジェルって意味もあって「アンジェルマン症候群」って名前なんだよね。あと会話はできないから、言葉を使ったコミュニケーションは難しいかな。
け:りほちゃんは笑顔で、活発な印象がありました。
父:あと特徴としては、色が白かったり、てんかんがあったり。てんかんがひどいと薬を投与する必要があったり。
け:普段、どんなことが大変だったりするのでしょうか?
父:大変なことか、、、まあ性格によると思うけど、ウチは別に大変じゃないと思う。言葉を使ったコミュニケーションが取れないから、体調が悪そうだったり、どこか痛そうだったりする時に、何が苦しいのか、どこが痛いのかわからないってのはちょっと大変かなあ。こっちの想像力でしか判断できないから。
け:やっぱり誠さんは人間が強い(笑)。なかなか「大変じゃない」って言えないですよね。
父:そうだろうね。おそらく障がいを持つ子どもさんがいるご家庭は、8割くらいの割合で「辛い」「大変だ」と答えると思う。俺は施設を経営してるし、そういう現状を目の当たりにしてるから。
け:そうですよね。こうやってインタビューさせてもらえるのも実はすごいことですよね。
父:障がいを持った子どもが生まれて、逃げるお父さんもいるしね。そこから一人でお子さんを育ててるお母さんも見てきた。生活保護を受けて、お子さんを育てているケースだってある。
け:お父さんが逃げちゃうのって、結構多いですよね。逃げないにしても、子育てに一切関わらないお父さんもいるし。
父:そういう現状があるのを知ってる立場としては、お母さんたちの力になってあげたいって思いがやっぱりあって。近い将来、ウチでテイクアウトの飲食店を経営して、そこを手伝ってもらって利益が出たら、それを還元できるようなスキームを作っていきたい。
け:やっぱり、誠さんはちゃんと”想い”を持って施設を経営されているのが伝わってきます。
父:俺の知り合いでも、要はお金儲けのために施設を経営しようとする人も、してる人もいるんだけど、俺はあんまりそういう人たちとは話が合わないし、関わらないようにしてて。やっぱり月並みかもしれないけど、どういう”気持ち”とか”想い”で施設をやるかってすごい大事なんよ。ちゃんと想いがある施設の経営者は全体の2割くらいかな。残念だけど。
け:僕もそれはすごい感じてて、やっぱり施設ってのは子どもたちに第二の家みたいな存在であって欲しくて。子どもたちが施設を卒業して、街を歩いてると施設の人にばったり会って「おー!元気にしてるかー?」みたいなのが理想ですよやっぱり。オーナーがどっか遠くに住んで、子どもたちとあまり関わらないみたいな施設は、「絵を描いて欲しい」という話があってもお断りすることもあります。
け:施設を始めるきっかけを話してもらってもいいですか?
父:いまデザイン会社を始めて9年目になるんだけど、お世話になってる人を自宅に招待してよくご飯食べたりするのね。その中には、娘が通ってた施設の先生たちももちろん入ってて。そこで飲んでた時に、先生たちからいろんな愚痴が出てきてさ、「給料いきなり1万円減らされた」とか(笑)。それを聞いた時に、「それだったら僕がお金出すか一緒に施設やってみる?」「君たちがしたいことやる?」って誘ってみたんだよね。そしたら、ぜひやりますってなって。それが3年前の5月だったかな。
け:そうだったんだ、すごい(笑)
父:それで、その話が出てから急ピッチで準備して半年後に1施設目をオープンできた。元の施設からは色々言われて、でも、こっちは何も悪いことしてないから問題はなかったんだけど(笑)
・・・・第二回に続く