親御さんインタビュー「みんな一生懸命」遊佐美香さん第2話

学校に通わなくなってしまったあゆむくん。学校も一生懸命対応してくれていたが、話し合って歩み寄らなければ打開できない状況に。今回は前回に続き、インタビュー第二弾をお届けします。

母:あゆむの場合は目の前が学校なので、最初不登校になり始めたのが、小学校一年生の終わりくらいだったんですけど、その時の担任の先生が毎朝家まで迎えに来てくれて、「連れてく」「連れて行かない」というやりとりをやっていて。私も最初の方は、半ば無理矢理にでも「行ってきな」という感じだったんですけど、でも嫌がるあゆむの姿を見て良くないなと思って。学校に恐怖心を持ってしまうし、なんで学校に行きたくないかちゃんと聞くと、授業についていけなくてどうしても寝てしまうという理由があって。眠たくて寝ているわけではなくて、授業に付いていけなくてどうしていいかわからないから寝ちゃうみたいで。そのことを先生に伝えると、「じゃあしんどい時は、”恐竜のカード”を渡すから出してみてね。手を挙げるのは難しいだろうから」とか、「学校に長くいることが難しかったら途中で帰っても良いからね」とか、色々配慮してくださいました。でも実際に、ゆうごが「今日は1時間で帰ります」と担任の先生に伝えると、その瞬間「え?明日休みだけど」みたいな反応で、それを目の前でみて、「ああ、だからあゆむは学校に行きたくないんだな」と感じました。あゆむと私と学校の、3者の間で決めた約束事を、先生が破ってしまうと、私とあゆむの信頼関係も崩れてしまうし、あゆむはまずます学校に行きたくなってしまう、だからその反応は少し違いませんか?とお伝えしたり。たまたま、玄関の鍵を閉め忘れてた時は、「おはようございますー!」って開けて入ってきたりして、息子が「お母さん怖い行きたくない」って言ってるのに、先生は「お母さんここまで連れてきてください。私が無理矢理連れて行くので」って言ってきたり(笑)。一生懸命向き合ってくださるのはすごくありがたいことではあるんですけど、色々ありましたね。それまでいろんな話し合いをしてたのにも関わらず、そういう対応だったので、「一生懸命なのはありがたいんですけど、息子も怖がってしまうから控えてほしい」とお伝えしました。でも、どうも納得頂けていない様子だったので、最終的には教頭先生と話し合って、なんとか落ち着きました。でも、そういうことがあったので、そこから半年くらいは学校に一切行けなくなってしまいましたね。それでも、教頭先生は諦めずにウチに通ってくれて、あゆむが好きな恐竜の本を見せてくれたりして、あゆむも教頭先生なら会ってもいいなと思ったみたい。そこから、少しづつ話をしながら、教頭先生には心を開くことができて、今は自分のクラスの担任の先生に「今日は出席する」「今日は出席しない」と意思を伝えられるようになっています。

け:学校行くのも大変だね。先生たちも一生懸命だけど、その一生懸命が正しいとは限らないもんなあ。

母:でも今はだいぶ配慮してくださるようになって、逆に私が焦って学校に行かせようとすると、先生たちから「お母さん落ち着いてゆっくりやりましょう」と落ち着かせてくれたりしますね。私も仕事柄、不登校のお子さんを持つ親御さんと接することがあるんですけど、そういう親御さんの気持ちを知ることができる良い経験をさせてもらったとも思っています。学校の先生たちは、一生懸命電話をしてきてくれたりして「お子さんは大丈夫ですか?」「お子さんの声を聞かせてください」って言ってくださるんですけど、こちらに精神的な余裕がないときは、まるで子どもを虐待して責められてる気持ちになったりするんですよね。どうしても。だから、支援する側、支援される側の両方を経験できて、どちらの気持ちも理解することができるので、いい経験だと思っています。不登校のお子さんを持つお母さんたちって、物凄く孤独な戦いを強いられるんですよね。だから、かける言葉には注意してコミュニケーションを取るようにしています。こちらの思わぬ一言が、傷つけたり、罪の意識を植え付けてしまったり、追い詰めたりしてしまうことがありますから。

け:学校がピンポーンっていきなりくるのは、びっくりしたと同時に「学校ってそんなに一生懸命向き合ってくれるんだ」って感心したんだけど、それで苦しむお母さんがいるよね当然。本人が一番一生懸命だもんね。

母:特に私たちが住んでいる大阪の交野市というところなんですけど、不登校ゼロを目指してて、特に一生懸命向き合ってくれるんですよね。

け:ああ!そういうことね!

母:もちろんさっきみたいなエピソードばかりじゃなくて、例えばあゆむが学校に行った時に、あゆむが夢中になって草むしりをしてると、それに先生が付きっきりで付き合ってくれたり。それが、担任の先生だけじゃなくて、他の先生もやってくれるんですよ。だから、学校全体であゆむが学校に楽しく通えるようにサポートをしてくれている感じはしますよね。

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