親御さんインタビュー「人生は失敗してなんぼだよ」山口千香子さん第2話

未熟児として生まれてきたものの、その後順調に成長し、言葉も少しずつ覚えたり、ハイハイもできるようになったり。親御さんも順調に成長していると安心した矢先、1歳を過ぎた頃に急性脳症を患い、生死を彷徨ったりゅうくん。無事に回復したものの、今まで成長が全てリセットされてしまったそう。実年齢よりも2歳半、成長が遅れているが自分のペースで日々を生きる。第一回に続く続編をお届けします。

第二回「人生は失敗してなんぼだよ」

け:周りに流されてさ、一人の子どもがゲームとかにハマったりするとクラス全体でそれがブームみたいになって、親御さんたちが悩むってことが結構あったりするじゃん?そう言う時に、親の意志でそれを例えば許可しなかったとして、その時に「自分だけさせてもらえないんだ」と子供が思ってしまうことは良くないことだと思うけど、周りともし違うことを良しとするならば、「自分は特別なんだ」ってプラスの方向に錯覚させて育てたいよね。「お前はスペシャルなんだ」と、思ってほしいよね。おれ自身、まだ子供がいないからそんな無責任なことは言っちゃいかんのかもしれないけどね(笑)

母:でもそれはいいね(笑)うちの子にも「自分はスペシャルだ」って思ってもらいたいです。

け:そうだよね。あとは、そのりゅうの2年半の遅れを、学校教育がどう捉えるか、だよね。現実問題。だって、りゅうは実年齢よりもちょっと遅れてるだけだもんほんとに。

母:私が思うのは、あまりにも「この年はここまでの知識を」とか「この年はこの勉強をしなくてはいけない」って言うのが決まりすぎてると思うんです。でもクラスをよく見てみると、同じ年齢の子でも、学習のスピードとか、理解度って当然ばらつきがあるわけで。そうしたら、もう1年同じ授業を受けてもいいんじゃないかと思いますよ。

け:学習のスピードもそうだし、あとはもうまあまあ大きいのにおねしょする子とかもいるもんんね(笑)

母:へえ、そう言う子もいるんだ

け:そうそう、実際にいるのよ。おれの知り合いの子供がまさにそんな感じで。小学校5年生になると、みんなでどっかに泊まりにいくじゃん?修学旅行じゃないけど学校でいくやつ。

母:うんうん、林間学校みたいなやつだよね。

け:それそれ!その子は5年生だけどおねしょをしちゃうから、親がすごい悩んでたもんね。でもそう言うことだよね。なんていうか、月並みだけど年齢なんてただの数字、記号でしかなくて、この年齢はこうであるべきだっていうのが強すぎるわな。

母:それもあるしさ、別にいいじゃんねおねしょするくらい。みんなで笑っちゃえばいいのに。日本は失敗しちゃいけないって言うのが強すぎるよ。人生なんて失敗してなんぼだと思いますよ。

け:失敗しちゃいけない社会ねえ。ほんとそうだわ。今りゅうは9歳で、1年生の授業を受けてるけど、学力は追いつきそうだよね。りゅうのペースがもちろんあるだろうけど。

母:そうですね、りゅうは馬鹿なふりしてるけど結構記憶力が良くて。多分、いろんなことを覚えてるし、いろんなこともわかってると思うんです。でも私は、バカなふりしてた方が楽だから、そうやって振る舞ってるんじゃないかなーとか思ってます。

け:それは大人もよく使う手だね(笑)。おれもやるもん(笑)。

母:でもりゅうは勉強が嫌いなんですよ。

け:おおおいいね!するなするな(笑)

母:きっちりやらされるのが嫌みたいなので、「知らなーい」みたいな感じで授業受けてるんじゃないかなとも思います。

け:まあ勉強も大事かもしれないけど、人生において大事なのは「人間関係」だからね。

母:その辺はりゅうは結構うまいかもしれないですね。

け:人間関係を作ることが、お金を作ることよりも、学力を高めることよりもよっぽど大事だからね。

母:そっか、そう言う社会だとりゅうも生きやすいかもしれないですね。ウチは女三人に男はりゅう一人なんですけど、女三人が集まるとやっぱりギクシャクすることがあって。でもそんな時にりゅうがいてくれると、その馬が和むって言うことが結構あるんですよ。いい緩衝材になってくれているというか。だから、私たち家族にとっては、とっても大切な存在です。そう言う意味では、やっぱり人に好かれやすい素養を持っているかもしれないし、大きくなった時にいい人間関係を築くきっかけになれば良いなとは思います。

け:おおお!他にもりゅうがいてよかったなと思うこと聞きたいな。

母:えっと、もちろんいっぱいありますけど。今パッと思いつくのは、りゅうがしばらく寝たきりになった時(第一回参照)、それでも徐々に回復して、元気になっていく姿を目の当たりにして、一つ決心できたことがあって。待って、これって公になる話ですか?(笑)

け:えっとね、聞いてから決めますね!(笑)NGないんで、話しちゃって!(笑)

・・・第三回に続く。

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